営業税から増値税への一本化改革における試行の過程
2011年から今年にかけて、中国はサービス業における二重課税解消を目指して、営業税から増値税への一本化改革が行われているが、2013年12月12日に財税「2013」106号通達が発表されたのを受けて、営業税改革の過程に現れている試行錯誤を見ていきたいと思います。
2011年11月 |
2012年1月1日より、上海市で交通運輸業及び一部現代サービス業の営業税から増値税への改革を開始する。《交通運輸業及び一部現代サービス業に係る営業税から増値税への改革パイロット実施弁法》(財税「2011」111号) |
2012年7月 |
2012年8月1日より、北京等8省及び直轄市に上海市のパイロット実施弁法を適用する。
《北京等8省、市で交通運輸業及び一部現代サービス業に係る営業税から増値税への改革展開についての通達》(財税「2012」71号) |
2013年5月 |
2013年8月1日より、全国で交通運輸業及び一部現代サービス業の営業税から増値税への改革を展開する。《全国で交通運輸業及び一部現代サービス業に係る営業税から増値税への改革展開についての通達》(財税「2013」37号) |
2013年12月 |
2014年1月1日より、鉄道運輸業及び郵便業を営業税から増値税への改革対象に適用する。 《営業税から増値税への改革パイロット実施弁法》(財税「2013」106号) |
次に、物流業界の関心が高い差額課税、簡易方式適用対象の変更過程を紹介致します。
|
物流業の売上差額課税 |
広告業の売上差額課税 |
ファイナンス・リースの売上差額課税 |
新たな適用業種 |
自動車の仕入控除 |
簡易課税方式の適用対象 |
上海市実施弁法 |
営業税条例の売上差額課税の優遇策を温存 |
営業税条例の売上差額課税の優遇策を温存 |
営業税条例の売上差額課税の優遇策を温存 |
なし |
運輸手段としての車を除いて、不可 |
公衆交通サービス |
北京市実施弁法 |
同上 |
同上 |
同上 |
なし |
同上 |
同上 |
全国実施弁法 |
上記の優遇策を廃止 |
上記の優遇策を廃止 |
同上 |
ブロードキャスト業 |
可能 |
同上 |
最新実施弁法 |
条件付で一部差額課税を復活 |
永久廃止 |
同上 |
鉄道運輸業、郵便業、速達業 |
可能 |
公衆交通サービス、倉庫業、荷卸運搬サービス、速達サービス |
【注意点】
1. 昨年8月に営業税改革の全国展開の際にこれまでの物流業の売上差額課税の優遇策を廃止され、物流業に大きな衝撃を与えた。特に国内仕入控除が殆どない国際運輸代理業にとって大幅な税負担増加につながったとして、国際運輸代理業協会を中心に財政部、税務総局に働きかけてきた。その結果、最新の実施弁法に反映されたが、厳しい条件が付けられている内容となりました。
2. 最新実施弁法は適用業種を拡大したほか、簡易課税方式の適用対象も拡大し、一部サービス業の税負担を下げました。
|