財資[2025]101号の分析 その三-外商投資企業における従業員奨励及び福利基金の今後の財務処理について

 

 

『中華人民共和国会社法』と『中華人民共和国外商投資法』が相次いで改正・施行されたことに伴い、中国の企業統治と外商投資管理体系は大きな変革を迎えています。これら2つの法律は、ビジネス環境の最適化、市場主体行為の規範化、出資者の権益保護の強化等において新たな要求を提示すると共に、企業の財務処理実務にも深遠な影響を与えています。
上記2つの法規公布後に生じた財務処理問題に関して、2025年6月9日に財政部及び関連部門は、『会社法、外商投資法施行後の財務処理問題に関する通知』(財資〔2025〕101号)を公布し、その中で従来の外資三法に基づき積み立てられた従業員奨励及び福利基金の財務処理について明確にしました。

1. 従業員奨励及び福利基金は引き続き積み立てるべきか

従業員奨励及び福利基金は、従来『中外合資経営企業法実施条例』及び『外資企業法実施細則』により規定され、中外合資企業及び外商独資企業の利益配当における前提条件でした。例えば、外資企業法実施細則の規定によれば、外資企業は中国の税法規定に基づき企業所得税を納付した後の利益について、準備基金と従業員奨励及び福利基金を積み立てなければならないとされていました。準備基金の積立率は税引後利益の10%を下回ってはならず、累積積立額が登録資本の50%に達した場合、新たな積み立てを必要としません。従業員奨励及び福利基金の積立率は、外資企業が自ら決定するものとされていました。
2020年に新たな外商投資法が公布された後、従来の外資三法は施行されなくなり、準備基金、企業発展基金、従業員奨励及び福利基金という従来の三項基金の積立要求も明確に規定されていません。さらに2024年に新たな会社法が公布され、その第210条の規定に基づき、企業は法定利益準備金及び任意積立金を積み立てることに改められました。但し、いずれも従来の外資企業における三項基金に関する明確な規定を設けていません。

これに対し、今回公布された財資〔2025〕101号は、三項基金の積立要求を明確化しました。 ①『会社法』の組織形態、組織構造及びその活動基準を適用する外商投資企業は、『会社法』の規定に基づき法定利益準備金及び任意積立金を積み立てなければならない。準備基金の残高は法定利益準備金として管理・使用し、企業発展基金の残高は任意積立金として管理・使用する。非会社制の外商投資企業はこれに準じて執行する。②外商投資企業は2025年1月1日以降、準備基金、企業発展基金、従業員奨励及び福利基金を積み立てしないことになり、2025年1月1日以降に積み立てられたものについては、戻し入れを行う必要がある。

2. 既に積み立てた従業員奨励及び福利基金はどのように処理すべきか

財資〔2025〕101号の規定により、外商投資企業の従業員奨励及び福利基金は、積立時に確定された用途、使用条件、手続に従って使用しなければなりません。
上記条項に基づき、積立済・未使用の従業員奨励及び福利基金は、依然として従来の積立時に定められた用途に従って使用されるべきです。財工字[1993]474号の規定によれば、従業員奨励及び福利基金は、従業員への非経常的な奨励、従業員住宅の購入・建設、修繕補助等の集団福利に用いられます。

したがって、未使用の従業員奨励及び福利基金は、引き続きこの範囲内で従業員の集団福利のために使用されるべきです。

3. 清算時に既に積み立てた従業員奨励及び福利基金はどのように処理すべきか

財資〔2025〕101号の規定により、清算時には「財政部による『会社法』施行後の企業財務処理問題に関する通知』(財企〔2006〕67号)の規定に基づき負債として管理すべきとされる場合を除き、従業員奨励及び福利基金は『外商投資企業清算期間における財政財務管理関連規定に関する通知』(財工字[1995]222号)に従って処理しなければなりません。
上記規定の詳細は、以下の通りです。

財企〔2006〕67号
企業が公益金制度の実施を停止した後、外商投資企業の従業員奨励及び福利基金について、董事会が引き続き積み立てることを決定した場合は、その用途、使用条件及び手続を明確化した上で、負債として管理しなければならない。

財工字[1995]222号
四、清算企業の財産は、清算宣告時における企業の全財産及び清算期間中に取得した資産を含む。国が別段の規定を定めている場合を除き、以下の3つの部分は清算財産に該当しない(以下、「三部分財産」という)。
1. 企業の従業員奨励及び福利基金の残高、中国側従業員の住宅運転資金、及びこれら2つの基金で購入・建設された各種財産・施設
2. 企業の中国側従業員の保険福利費の残高
3. 企業の労働組合経費及び労働組合経費の残高で購入・建設された財産

財工字[1995]222号
八、外商投資企業の清算が完了し、外商が持分を引き上げた場合、中国側出資者が配当により取得した残余財産については、その性質、形態及び中国側出資者の資金源に応じて、適切な財務処理を行うものとする。このうち、第4条に規定する三部分財産は、以下の状況に応じて処理する。
(1) 企業が中国側出資者により経営が継続される場合、三部分財産は引き続き企業に残して使用される。このうち、企業の従業員奨励及び福利基金の残高及び当該基金で購入・建設された各種財産は公益金に算入される。中国側従業員保険福利費の残高は未払従業員福利費に算入される。住宅運転資金の残高及び当該資金で購入・建設された財産は住宅運転資金に算入される。労働組合経費の残高及び労働組合経費で購入・建設された財産は新企業の労働組合口座に振り替える。
(2) 企業解散時、中国側出資者が2社以上を保有し、その内の1社又は2社が持分の引き上げを予定している場合、三部分財産は主に中国側従業員が所在する企業に残し、規定に従って使用される。具体的な分配比率は、各中国側出資者が協議して決定する。
(3) 外資企業が終了する場合、三部分財産は譲受会社に引き渡し、規定に従って使用される。

上述の規定と従業員奨励及び福利基金の定義に関する規範からすると、歴史的な観点において、積み立てられた従業員奨励及び福利基金は、企業における従業員全体への福利的な負債として理解すべきであり、その会計科目もそれに応じて負債に該当し、その用途も制限されます。
したがって、企業が清算においてこれを清算財産として株主に直接配当する場合、配当処理が基金の積立目的及び用途に相反するという瑕疵が存在することになります。よって実務上では、多くの場合、企業の従業員全体が退職補償金協議での合意を前提として解散が基本的に完了し、従業員奨励及び福利基金の福利使用対象が既に消失している状況において、この福利的な負債は企業の清算において従業員による企業への債務免除と見なされ、清算收益に算入された上で清算財産として株主に配当されます。
この理解に基づけば、積立済・未使用の従業員奨励及び福利基金は、企業の税引後利益から積み立てられたものではあるが、清算において債務免除益として見なされる場合、清算損益計算書に組み入れ、企業所得税を計算することになります。
但し、企業の主管税務機関の税務処理に対する裁量権、または企業清算の税務監査を担当する税理士事務所が「税引後利益からの積立・形成」という要素を重視するため、実務上では、積立済・未使用の従業員奨励及び福利基金の株主への配当に対し、企業所得税が課されない可能性も排除できません。このため、清算過程において、従業員奨励及び福利基金の企業所得税処理を明確にするために、主管税務機関と積極的に協議して頂くようお勧めします。

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